労災の後遺障害認定にデメリットはない!会社への影響や申請しないリスクを解説

「労災の後遺障害認定を申請したいけれど、会社との関係が悪化するのではないか」「解雇や昇進に響くデメリットがあるのではないか」と、不安を抱えていませんか?
仕事中の怪我で後遺症に苦しんでいるにもかかわらず、将来への懸念から正当な権利の行使をためらってしまう方は少なくありません。しかし結論から申し上げますと、労災の後遺障害認定を受けることに、労働者にとっての本質的なデメリットはないといえます。
むしろ申請をしないことで、本来受け取れるはずの手厚い補償をすべて失うリスクのほうが深刻です。
そこでこの記事では、後遺障害認定の申請に関するよくある不安や誤解を解き、申請しない場合の具体的なデメリットについて徹底解説します。
労災の後遺障害認定を申請するか迷われている方は、ぜひ最後までご覧ください。
1.【大前提】労災の後遺障害認定を受けることに本質的なデメリットはない
大前提として、労災の後遺障害認定を受けることは、被害者にとって法律上認められた正当な権利であり、これを行使することで直接的な不利益を被ることは原則としてありません。
「会社に迷惑がかかるのではないか」「手続きが面倒で損をするのではないか」と不安に感じる方も多いですが、それは大きな誤解です。むしろ、適切な後遺障害認定を受けないままにしておくほうが、将来的な生活費や医療費の面で大きなリスクを負うことになるのです。
自分と家族の生活を守るためにも、制度を正しく理解し、ためらわずに申請をおこないましょう。
1-1.そもそも労災は誰にでも与えられた権利
労災保険は、雇用形態にかかわらず、働いている人なら誰にでも平等に与えられた権利です。正社員はもちろん、パートやアルバイト、日雇い労働者であっても、仕事中や通勤中にケガをしたり病気になったりすれば補償の対象となります。
会社は、従業員を一人でも雇っていれば労災保険に加入する義務があり、保険料は全額会社が負担しています。したがって、あなたが気兼ねする必要は全くありません。
「自分のような立場でも申請していいのだろうか」と悩まず、当然の権利として堂々と制度を利用してください。
1-2.労災の後遺障害認定の申請によって損することはない
後遺障害認定の申請手続きをおこなうこと自体で、あなたが損をすることは一切ありません。
もし後遺障害が認定されれば、障害の重さに応じた給付金を受け取ることができますし、万が一「非該当」となり認定されなかったとしてもペナルティや費用の請求をされることはありません。また、これまでに受け取った治療費や休業補償を返す必要もないのです。
つまり、労災の後遺障害認定の申請をすることによる金銭的なマイナスはゼロといえます。
1-3.労災を申請しないことによるデメリットは多い
労災保険を使わずに健康保険で済ませたり、何も手続きをしなかったりすると、非常に多くのデメリットを抱えることになります。
主に、以下の3点です。
- 治療費が全額自己負担になる
- 仕事を休むことによる休業補償が一切もらえない
- 後遺症が残っても一切の補償がない
それぞれ解説します。
1-3-1.治療費が全額自己負担になる
仕事中のケガに労災を使わない場合、治療費が全額自己負担になる恐れがあります。
そもそも、仕事中や通勤中のケガ(労災)は、健康保険法上、健康保険の給付対象外とされており、労災保険が優先して適用されます。もし、労災申請をせず会社も治療費を負担してくれない場合、医療費の全額を自分で病院に支払わなければなりません。
一方労災保険を適用すれば、治療費は全額労災から支払われるため、窓口での支払いはゼロになります。経済的な負担をなくして治療に専念するためにも、必ず労災として処理してもらうのが重要です。
1-3-2.仕事を休むことによる休業補償が一切もらえない
ケガの治療のために仕事を休んだ分の給料が出ない場合、労災を申請していないと休業補償を一切受け取れません。
労災保険には「休業(補償)給付」という仕組みがあり、給料の約8割が非課税で補償されます。しかし、労災の手続きをしないと給付金は支払われないため、治療期間中の収入が途絶え、生活が立ち行かなくなるリスクがあります。
健康保険の傷病手当金よりも給付率が高いため、生活水準を維持しながら安心して療養するためには、労災による休業補償の申請が不可欠です。
1-3-3.後遺症が残っても一切の補償がない
治療を尽くしても体に痛みや機能障害が残ってしまった場合、労災申請をしていないと後遺症に対する補償は1円も受け取れません。
労災の後遺障害認定を受けていれば、等級に応じて一生涯受け取れる年金やまとまった一時金が支給されます。しかし、申請をしていなければ、将来にわたる身体的な苦痛や、働けなくなったことによる収入減に対する金銭的なカバーがないまま過ごすことになります。
自分と家族の将来の生活を守るためにも、適切な等級認定を受ける手続きをとるべきです。
2.労災による後遺障害認定のデメリットに関するよくある不安や疑問

労災による後遺障害認定を申請するにあたり、多くの人が「会社から解雇されるのではないか」「昇進に響くのではないか」といった不安から、申請をためらってしまうのが現実です。しかし、これらの不安の多くは、制度への誤解や思い込みに基づいているケースがほとんどといえます。
ここでは、労災申請を検討する際によくある疑問や不安について、実務の観点から5つの疑問に答えていきます。
- 後遺障害認定を申請したことが理由で、会社から解雇される?
- 会社との関係が悪化し、復帰や昇進に影響する?
- 認定が、会社への損害賠償請求(示談)に影響する?
- 後遺障害の認定を受けることで生命保険に入れなくなる?
- 労災による後遺障害認定結果は会社に知られる?
一つずつ見ていきましょう。
2-1.後遺障害認定を申請したことが理由で、会社から解雇される?
労災申請や後遺障害認定の申請をおこなったことを理由に、会社が従業員を解雇することは法律で固く禁じられています。労働基準法第19条をはじめとした法律により、労働者の権利は守られているのです。
そのため、労災申請が原因でクビになることはありません。もし会社がそのような理由で解雇を通告してきたとしても、それは法律違反として無効になります。
自分の体を守るための正当な権利主張は悪いことではないため、雇用の不安を感じずに手続きを進めて大丈夫です。
2-2.会社との関係が悪化し、復帰や昇進に影響する?
労災による後遺障害認定の申請によって、会社との関係が悪化したり復帰や昇進に悪影響が出たりすることは、基本的にありません。
まともなコンプライアンス意識を持つ会社であれば、従業員のケガが労災と認められ、国から適切な補償を受けることを妨害しないはずです。会社側の安全管理の問題を追求して損害賠償を請求する場合は対立することもありますが、単に労災保険の後遺障害認定を申請するだけであれば、手続きは事務的に進むのが一般的です。
過度に心配しすぎず、まずは自分の体の回復と補償を優先してください。
2-3.認定が、会社への損害賠償請求(示談)に影響する?
後遺障害認定を受けると、会社への損害賠償請求において、むしろ被害者にとって有利に働くケースが多いです。
国が定めた労災の等級認定は、公的な証明書のような強い効力を持ちます。これにより、「業務上の事故でこれだけの重い後遺症が残った」という客観的な証拠となり、会社に対して慰謝料や逸失利益(将来得られたはずの収入)を請求する際の強力な根拠になります。
認定を受けていないほうが、「後遺症の存在」自体を証明するのが難しくなり、適正な賠償金を得られなくなる可能性が高まります。
2-4.後遺障害の認定を受けることで生命保険に入れなくなる?
労災の後遺障害認定を受けたという事実のみを理由として、民間の生命保険への加入が一律に拒否されるわけではありません。「労災の認定を受けたからブラックリストに載る」といったことはなく、一律に加入を断られるわけではないのです。
ただし、後遺障害の原因となった傷病の内容、現在の症状の程度、治療の経過などによっては、保険加入時の審査において条件が付されたり、特定の保障内容に制限が設けられたりする場合があります。保険会社や商品によって基準は大きく異なるため、個別に確認してみることをおすすめします。
2-5.労災による後遺障害認定結果は会社に知られる?
労災の後遺障害認定の結果は、原則として会社にも通知されるため知られることになります。労災保険の手続きには事業主の証明が必要な場面があり、認定結果の通知書が被災者だけでなく会社宛てにも届く仕組みになっているためです。
しかし、これを知られたからといって、前述の通り解雇や不当な扱いを受ける正当な理由にはなりません。会社側も、従業員の健康状態や労働能力を把握する義務があります。
隠すようなやましいことではないため、堂々としていて問題ありません。
3.労災の後遺障害認定を受けないことによるデメリット
結論として、労災の後遺障害認定を受けないことによるデメリットは非常に大きいです。申請をしないことで具体的にどのような不利益が生じるのか、以下の3つのポイントを解説します。
- 障害(補償)給付(一時金・年金)が一切もらえない
- 会社に対する損害賠償(慰謝料など)を請求する根拠がなくなる
- 治療費や休業補償が打ち切られる可能性がある
それぞれ解説します。
3-1.障害(補償)給付(一時金・年金)が一切もらえない
認定を受けなければ、本来受け取れるはずの給付金が一切もらえなくなります。
労災保険には、後遺症が残った場合に支給される「障害(補償)給付」があります。これは、障害の程度に応じて、年金または一時金として支払われるものです。しかし、これは自動的に振り込まれるものではなく、自分で申請して認定されなければ受け取ることができません。
申請をしないというのは、将来にわたって受け取れるはずだった数百万円、あるいはそれ以上の金額をみすみす捨てるのと同じことになってしまいます。
3-2.会社に対する損害賠償(慰謝料など)を請求する根拠がなくなる
後遺障害認定を受けずにいると、会社に対する損害賠償請求をおこなうための重要な根拠を失ってしまいます。
もし会社側に安全配慮義務違反などの落ち度があった場合、労災保険とは別に慰謝料などを請求できる可能性があります。しかしそのためには、「業務が原因で後遺症が残った」という事実を客観的に証明しなければなりません。
労災の後遺障害認定は、国がお墨付きを与える公的な証明となります。認定を受けていないと、後遺症の存在自体を会社側に否定され、適正な賠償金を受け取るのが極めて難しくなるでしょう。
3-3.治療費や休業補償が打ち切られる可能性がある
後遺障害の認定を受けないまま症状固定と判断されると、それまでの治療費や休業補償は打ち切られる可能性があります。
ケガの治療を続けてもこれ以上良くならない状態を「症状固定」といいます。この段階になると、労災から支給されていた治療費や、仕事を休んだ場合の休業補償給付は終了となります。
もし後遺障害認定の申請をしていなければ、その後の補償は一切なくなってしまうのです。収入が途絶え、生活が困窮するリスクを避けるためにも、症状固定後は速やかに後遺障害認定の手続きへ移行するのが鉄則です。
関連記事:症状固定とは?定義や重要性・症状固定後の対応を徹底解説
4.労災の後遺障害認定申請前に知っておきたいポイント
労災による後遺障害認定の申請前に、以下5つのポイントを押さえておきましょう。
- 後遺障害等級の認定基準を把握しておく
- 症状を裏付ける客観的な証拠を用意する
- 主治医に対して症状に関する情報を的確に伝える
- 申請には時効がある
- 申請には時間と手間がかかる
詳しく解説します。
4-1.後遺障害等級の認定基準を把握しておく
自分の症状がどの後遺障害等級に該当する可能性があるか、基準を把握しておきましょう。
後遺障害等級は、障害の重さに応じて1級から14級まで細かく分類されています。認定を受けるためには、それぞれの等級が定める条件を満たしていなければなりません。
あらかじめ認定基準を知っておくと、どのような検査が必要で、診断書に何を記載してもらうべきかが明確になります。闇雲に申請するのではなく、ゴールを見据えて準備を進めるのが、適切な認定を勝ち取るための第一歩です。
4-2.症状を裏付ける客観的な医学的資料を用意する
後遺障害認定の申請前に、症状を裏付ける客観的な医学的資料を用意してください。
認定の審査では、本人の「痛い」「しびれる」といった訴えだけでは、証拠として不十分と判断される傾向があります。必要になるのは、MRIやレントゲン、CTといった画像データや、神経学的検査の結果など、第三者が見ても症状が明らかである医学的資料です。
とくに、むちうちのような外見からはわかりにくい症状の場合、こうした他覚的所見があるかどうかが、認定の可否を分ける大きなポイントになります。
4-3.主治医に対して症状に関する情報を的確に伝える
日頃の診察から、主治医に対して自覚症状を具体的かつ正確に伝え続けましょう。
後遺障害診断書を作成するのは主治医ですが、主治医はあなたが伝えた自覚症状や検査結果をもとに書類を書きます。
「以前よりマシになったから」と遠慮して痛みを伝えなかったり、説明が曖昧だったりすると、診断書に症状が正しく反映されません。審査は書類のみでおこなわれるため、診断書の記載内容は非常に重要です。
痛みやしびれの頻度、程度、日常生活への支障などを、毎回の診察で詳しく伝えることが大切です。
関連記事:【むちうちの症状の伝え方】重要性やポイント・注意点
4-4.申請には時効がある
労災の後遺障害認定申請には「時効」があるため、早めの手続きが必要です。障害(補償)給付の請求権は、傷病が治った日(症状固定日)の翌日から5年を経過すると時効によって消滅します。
5年というと長く感じるかもしれませんが、治療や書類の準備、会社とのやり取りなどで時間はあっという間に過ぎてしまいます。「まだ時間があるから大丈夫」と後回しにしていると、気づいたときには権利が消えてしまっていた、という事態になりかねません。
症状固定後は、速やかに動き出しましょう。
4-5.申請には時間と手間がかかる
申請から結果が出るまでには、相応の時間と手間がかかることを覚悟してください。
後遺障害認定の審査期間は、通常であれば数カ月から半年程度かかるケースが一般的です。また、申請書類の作成や医学的な証拠集めにも時間が必要です。事案が複雑な場合や、審査機関から追加資料を求められた場合は、さらに期間が延びることもあります。
すぐに給付金が受け取れるわけではないため、審査期間中の生活費の確保など、経済的な見通しも立てておくことが賢明です。
関連記事:後遺障害等級認定の期間とは?目安より遅れる理由や対処法も解説
5.労災の後遺障害認定申請〜認定までの流れ

労災の後遺障害認定申請から認定までは、通常以下5つのステップで進んでいきます。
- 医師から症状固定の診断を受けるまで治療を続ける
- 主治医に「後遺障害診断書」を作成してもらう
- 労働基準監督署へ申請書類を提出する
- 労働基準監督署によって審査される
- 認定の通知が郵送される
順を追って解説します。
5-1.医師から症状固定の診断を受けるまで治療を続ける
まずは、主治医から「症状固定」の診断を受けるまで、しっかりと治療を続けてください。
労災の後遺障害認定は、症状固定の時点で残っている障害に対しておこなわれます。自己判断で通院をやめてしまうと、まだ治る可能性があるとみなされたり、後遺症と事故との関係性が疑われたりして、認定を受けられなくなるリスクがあります。
医師が医学的に判断するまで、根気よく治療を継続するのが何より重要です。
5-2.主治医に「後遺障害診断書」を作成してもらう
症状固定と診断されたら、速やかに主治医に依頼して「後遺障害診断書」を作成してもらいます。
後遺障害診断書は申請において最も重要な書類であり、あなたの後遺症の内容や程度を医学的に証明するものです。診断書には、自覚症状や他覚的所見(検査結果など)、関節の動く範囲などが詳細に記載されます。
診断書を受け取ったら、自分でも内容を確認し、実際の症状と異なる点や記載漏れがないかチェックすることをおすすめします。もし不備があれば、提出前に医師に相談して修正してもらいましょう。
5-3.労働基準監督署へ申請書類を提出する
申請に必要な書類が揃ったら、管轄の労働基準監督署へ提出します。提出するのは「障害補償給付支給請求書」という書類で、これに後遺障害診断書やレントゲン画像などの医学的資料を添付します。
請求書には事業主(会社)の証明が必要になるため、あらかじめ会社に記入・押印をお願いしておかなければなりません。万が一、会社が協力を拒否する場合は、「事業主の証明が得られない」という理由書を添えて提出すれば、そのまま受理してもらえるので安心してください。
5-4.労働基準監督署によって審査される
書類が受理されると、労働基準監督署による審査が開始されます。
審査では、提出された書類の内容をチェックするだけでなく、必要に応じて主治医への照会や、申請者本人との面談がおこなわれます。面談は「地方労災医員」という専門医によって実施され、実際の障害の状態を確認される重要な場です。ここで症状を正しく伝えることが等級認定のカギとなるため、聞かれたことには正直かつ具体的に答えるようにしましょう。
なお、審査期間は事案にもよりますが、数カ月程度かかるのが一般的です。
5-5.認定の通知が郵送される
すべての審査が終了すると、労働基準監督署から「支給決定通知書」または「不支給決定通知書」が郵送で届きます。後遺障害等級が認定された場合は、決定された等級と支給される給付額が記載されています。
もし結果に不服がある場合(等級が低すぎる、あるいは認定されなかったなど)は、通知を受け取ってから3カ月以内に「審査請求」をおこない、再審査を求めることも可能です。
通知書は大切な書類ですので、内容をよく確認し、大切に保管しておいてください。
関連記事:後遺障害が認定されない理由とは?認定されなかったときの対処法も解説
6.労災の後遺障害で受け取れる給付金と慰謝料の目安
認定された後遺障害等級に応じて、労災保険からの給付金と、会社への損害賠償額が決まります。
労災の後遺障害等級は1級から14級まであり、数字が小さいほど障害が重く、給付額も高くなります。ここでは代表的な以下3つの等級を例に、どのくらいの金額が目安になるのかを見ていきましょう。
- 14級の場合(一時金)
- 12級の場合(一時金)
- 7級以上の場合(年金)
一つずつ解説します。
6-1.14級の場合(一時金)
最も軽い等級である14級の場合、給付金は年金ではなく一時金として支払われます。
労災保険からは、給付基礎日額(平均賃金)の56日分の一時金と、8万円の特別支給金が受け取れます。たとえば日額1万円の人なら、合計で64万円程度です。
また、会社に損害賠償請求をする場合の「後遺障害慰謝料」の相場は、弁護士基準で約110万円となります。
これらを合わせると、ある程度のまとまった金額になりますが、生活を一生支えるには不十分なため、早期の社会復帰を目指す必要があるでしょう。
関連記事:後遺障害14級の認定を受けるデメリットはある?認定のポイントも解説
6-2.12級の場合(一時金)
14級よりも重い12級の場合も、支払われるのは一時金となります。
労災保険からは、給付基礎日額の156日分の一時金と、20万円の特別支給金が支給されます。日額1万円の場合、合計で約176万円となり、14級と比べて大幅に増額されます。
さらに、会社に対する「後遺障害慰謝料」の弁護士基準相場は290万円程度です。
逸失利益(後遺障害で働きにくくなった分の補償)も請求できる可能性が高く、総額では数百万円規模の賠償になるケースも珍しくありません。
6-3.7級以上の場合(年金)
障害が重く、7級以上に認定された場合は、一時金に加えて毎年「年金」を受け取ることができます。
7級の場合、労災保険からは給付基礎日額の131日分の年金(毎年支給)と、159万円の一時金(初回のみ)が支給されます。日額1万円なら、毎年約131万円が一生涯支払われるため、生活の安定に大きく寄与するでしょう。
会社への「後遺障害慰謝料」も1,000万円を超えるうえに高額な逸失利益も加わるため、賠償総額は数千万円単位になることもあります。将来の生活設計のためにも、正しい等級認定を受けることが極めて重要です。
7.【弁護士の先生へ】労災の後遺障害認定に対して弊社ができること
弊社は、労災の後遺障害認定において、医学的証拠の不足や立証の難しさにお困りの弁護士の方を全面的にサポートいたします。
適正な等級認定を勝ち取るためには、業務と傷病との因果関係や、残存する症状を医学的に証明する客観的な証拠が不可欠です。しかし、主治医の協力が十分に得られなかったり、専門的な知見が必要になったりと、立証活動が難航するケースも少なくありません。
弊社は、労災や交通事故案件に特化した医療鑑定・医療コンサルティング会社です。専門医による画像の読影や医学意見書の作成などを通じて、先生方が法的主張に専念できる環境を整え、クライアントの正当な利益獲得に貢献いたします。医学的立証でお悩みの際は、ぜひ弊社までご相談ください。
※弊社は弁護士の先生からのお問い合わせに対してのみ、サービスを承っております。そのため事故の被害にあわれた当事者の方は、必ず代理人弁護士の先生を通してご連絡頂きますよう、よろしくお願い申し上げます。
関連ページ:交通事故や医療過誤等の医学意見書作成
8.まとめ
この記事では、労災の後遺障害認定にデメリットはあるのか、申請しないことによるリスクはあるのかなど解説しました。
労災認定の申請によって労働者が不利益を被るような「デメリット」は、基本的にありせん。会社からの報復や将来への悪影響といった不安の多くは誤解であり、法律によって労働者の権利は守られているのです。
逆に、申請をあきらめてしまうと、治療費の自己負担や将来の生活を支える補償が得られないなど、損失を被ることになります。
時効により権利が消滅してしまう前に、まずは主治医に相談し、適切な手続きを進めることが大切です。もし手続きや会社との対応に不安がある場合は、専門家である弁護士への相談も検討してみてください。

このコラムの著者
白井 康裕
【経歴・資格】
・日本専門医機構認定 整形外科専門医
・日本職業災害医学会認定 労災補償指導医
・日本リハビリテーション医学会 認定臨床医
・身体障害者福祉法 指定医
・医学博士
・日本整形外科学会 認定リウマチ医
・日本整形外科学会 認定スポーツ医
2005年 名古屋市立大学医学部卒業。
合同会社ホワイトメディカルコンサルティング 代表社員。
医療鑑定・医療コンサルティング会社である合同会社ホワイトメディカルコンサルティングを運営して弁護士の医学的な業務をサポートしている。
【専門分野】
整形外科領域の画像診断、小児整形外科、下肢関節疾患
