自賠責と労災の後遺障害等級の認定が異なる?

弊社では通勤中の自動車事故で後遺障害が残った事案の相談が多くあります。
このような事案では、後遺障害が自賠責と労災で両方認定されることがあります。

ご存じの通り、自賠責と労災は後遺障害の認定の基準は同じものが採用されています。
このことから、自賠責と労災の後遺障害の等級認定は同じものになることが予想されます。

しかし、自賠責と労災で認定された等級が異なるケースが多くあります。

そのような相談の中で大部分は労災の認定等級が良く、自賠責の認定等級が悪いというものです。

この自賠責と労災で認定された等級の違いはなぜ発生するのでしょうか?

弊社では、医師が認定業務に関与しているか、関与していないかで違いが発生していると考えています。

労災の認定においては、認定の際に各地方の医師が労災医員となり、労災医員が実際に後遺障害の残った被害者を診察して、意見書を作成します。
その労災医員の意見書を基に、労災では後遺障害を認定します。

一方で、自賠責での認定実務の詳細は公表されていませんが、労災のように医師が関与している様子はなく、医師でない職員が書面をベースに審査している印象を受けます。

このような背景から、実際に医師が認定に関与する労災の認定の方がより正確な評価ができているのではないかと考えています。
弊社の鑑定実績でも、医学的には労災の認定の方が妥当であると判断されるケースが多いです。

自賠責と労災の認定が異なり、どちらが妥当なのか迷う際にはぜひ弊社へ御相談ください。

 

白井康裕

このコラムの著者

白井 康裕

【経歴・資格】
・日本専門医機構認定 整形外科専門医
・日本職業災害医学会認定 労災補償指導医
・日本リハビリテーション医学会 認定臨床医
・身体障害者福祉法 指定医
・医学博士
・日本整形外科学会 認定リウマチ医
・日本整形外科学会 認定スポーツ医

2005年 名古屋市立大学医学部卒業。
合同会社ホワイトメディカルコンサルティング 代表社員。
医療鑑定・医療コンサルティング会社である合同会社ホワイトメディカルコンサルティングを運営して弁護士の医学的な業務をサポートしている。

【専門分野】
整形外科領域の画像診断、小児整形外科、下肢関節疾患